JpsonicのUPnPサーバ機能は伊達ではなくメイン機能として整備されています。
この記事のポイントは対応UPnPアプリ、機能比較になります。それ以外はオマケであり利用例や関連情報が書いてあります。
アラサー・アラフォーはおそらく予備知識不要ですが、若い世代にとって音楽の入り口はYoutubeやサブスクでありDLNA自体を知りません。細かいことは親切なサイトで調べていただくとして、どのようなことができるかが断片的にでも伝わるようにオマケ情報を多めに書いてあります。
UPnPを重視する理由
純粋な音楽プレイヤとしてブラウザでネイティアプリの性能を超えることは技術的に不可能です。そのため汎用性の高いUPnPプロトコルを拡張し、より多くの音楽アプリが利用できるようにしています。
「探す」「聴く」といったJpsonicが重点的に整備している機能はUPnPアプリを使用した場合にも恩恵があるため、管理しているファイル数が多ければ多いほどJpsonicと英米サーバの使いやすさの差は顕著になります。
エコシステムにUPnPを取り込むことで以下のようなことが実現できます。クラウドサービスと真逆の利点を持ちます。
- 外部ネットワークと隔離した運用が可能です。セキュリティ最強です。
- ローカルネットワークに限定されるので、本格的なネット知識がなくても環境構築しやすいです
- アプリの選択肢が多くなります。音楽アプリは競争が激しい分野のため、本来は優れたアプリを取捨選択しやすい分野です
- 心置きなくCD品質やハイレゾの音源を扱えます。FLACは24bit/352.8kHzまでの送出確認を行っています
- 汎用性・コスパが高いです。お手軽・高音質・高度なブラウジング・アプリの多様性を確保できる仕組みは意外と限られます
対応UPnPアプリ、機能比較
Jpsonicを一般的なUPnPアプリで利用する場合の機能差異についてまとめています。画面のデザイン等は各プロダクトのページを参照するか、インストールして御確認ください。
検証対象アプリ一覧
このリストは何かのランキングのようなものではありません。
サーバとサードハーティアプリの組み合わせで想定動作しない場合、一見しただけでは原因個所を特定することが困難な場合があります。悪魔の証明と呼ばれるもので、このような場合では正しい動作を証明した方が早い場合があります。
たとえば大部分のアプリはJpsonicが送出した厳密なソート順の通りに表示を行うことができます。一方一部のアプリは独自ソートでそれを破壊します。これが明確であれば、もし未知のアプリで想定動作しなければそのアプリの実装に問題があるかもしれないと予想をたてることができます。
今後検証対象は増えていく可能性があります。
観点表
ここでは一般的なレビュー記事等ではあまり触れられない、比較的クライアントの機能差が多い部分を観点として列挙しています(近代的なUPnPアプリであればこれくらいの機能要件はクリアしておいてほしいな、というもの)。譲れない機能がある場合、「アプリ/連携機能一覧」の表中の該当機能に★がついているものをお試しになるのがよいかもしれません。
たとえばWindowsのアプリはほとんどの場合表示順が破壊されますが、唯一MediaMonkeyはスマホと同じような正しい日本語順の表示が可能です。マイクロソフトのAPIを利用したアプリはデータ順を破壊しやすい傾向があるものの、配慮された実装を持つアプリも存在するということが分かります。
(ただしMediaMonkey5はベータ版のため不安定であり、事実上、十分な品質を持つWindowsアプリは不在)
No |
Features |
Perspective |
1 |
FLACの再生 |
ハイレゾも含めFLAC形式のファイルを演奏が可能かどうか。もしアプリ側でストリームを受信後に何らかの非効率な処理が行われている場合、音飛びのような症状が現れる場合があります。そのようなアプリではハイレゾ以下の帯域においても音飛びに弱くなる傾向があります。またそもそもサーバで非効率な処理が行われている場合、アプリに問題がなくても音飛びする場合があります。サーバ・クライアント双方の処理に無駄がないか、高解像度ファイルを少なくとも再生が可能であるかどうかの調査を目的としており、受信後にどのような変換処理が行われるかはプラットフォームがサポートするコーデックとクライアントの実装に依存します。 |
2 |
トランスコード(MP3) |
FLACからMP3にトランスコードされたストリームを再生できるかどうか。ストリームを受信後に何らかの問題ある処理が行われている場合、再生自体ができない可能性があります。また演奏時間の長いクラシック曲等を変換する場合、ストリーム送出開始までにそれなりのタイムラグが発生します。再生開始までのウェイトが短めに設定されているアプリでは、条件によっては再生ができない場合があります |
3 |
トランスコード(CD品質) |
高解像度FLACからCD品質へのリサンプリングされたストリームを再生できるかどうか。MP3の場合と基本的には理屈が同じです |
4 |
ソート |
クライアントがデフォルトでサーバーによる要素の順序を壊さないかどうか。強制的に粗悪なソートを行うアプリは、Jpsonicとの非常に相性が悪いです。強制ソートを行ってくるアプリはその他においてもラテン語ガラパゴスの設計が行われている可能性があります。通常はクライアント側で選択制となっています。 |
5 |
サーバーサイド検索 |
ローカル検索ではなく、サーバー側のUPnP検索をサポートしているかどうか。Jpsonicの検索能力はアプリのローカル検索より優秀です。これをサポートしないアプリでは、大規模なライブラリとつきあっていくのが困難な場合があります。サーバーサイド検索は単純な文字列検索だけでなくアーティストやアルバム間のジャンプ機能等の他の機能にも利用される場合があります |
6 |
音声入力 |
音声入力によりサーバーサイド検索を実行できるかどうか。これがサポートされている場合スマホからの検索がとても楽になります。ただしこの機能がサポートされることは現状では稀です |
7 |
遅延読み込み |
部分的なコンテンツ取得がUPnPリクエストで有効利用されているかどうか。コンテンツを一度の通信で読み取るのではなく小分けに逐次処理できるのがUPnP通信の強みです。一事が万事。このレベルの実装がイマイチな場合、他の通信機能実装にもイマイチな箇所が存在する可能性があります |
8 |
ダウンローダ |
ダウンローダを持つかどうか。ストリームをオフラインで2次利用しやすいかどうかに関わります。多くのアプリがキャッシュ機能を持つためトリッキーな使用方法で解決できる場合もあります。ただしディレクトリ構成の復元、保存ディレクトリの指定、ダウンロードタスクの進行度表示といった機能を持つアプリの場合、UPnPアプリとは別のローカル再生用音楽アプリとの連携運用がとても便利になります |
アプリ/連携機能一覧
- BubbleUPnPが最も多芸なので、BubbleUPnPと同じ★の数を持つかどうかをひとつの比較の基準にできます
- 厳しいことを言えばWindowsはもう期待できないかもしれません。ただしメンテ継続しているアプリもあり経過観察
- Windows衰退というよりはスマホのスペック向上の結果かと。Winで良い音鳴らすには色々オプションが必要です
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1:FLAC |
2:(MP3) |
3:(CD) |
4:ソート |
5:検索 |
6:音声 |
7:遅延 |
8:DL |
A: Subsonic |
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B: MusicBee |
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C: BubbleUPnP |
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★1 |
☆2 |
★3 |
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D: MediaMonkey(Android) |
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★1 |
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★3 |
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E: foobar2000(Android) |
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★4 |
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★3 |
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F: Hi-Fi Cast |
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★1 |
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★3 |
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G: AK Connect |
☆5 |
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★1 |
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H: MediaMonkey 5(Win) |
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★ |
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★3 |
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I: foobar2000(Win) |
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★1 |
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★3 |
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J: WMP12 |
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★6 |
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K: BubbleDS |
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★1 |
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★3 |
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L: Kazoo |
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★1 |
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★3 |
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★詳細
- ★1 クライアントアプリの発行する検索クエリが尊重され、Jpsonicモデルにマッピングされます。非標準のプロパティを含む句は部分的に無視されます。
- well-formedでないクエリを投げてくるのはMediaMonkey、Kazoo
- MediaMonkeyの曲検索のアルバムアーティストは無視されます(Twonkyと同じUPnP仕様バグ)。アルバム検索が可能なため検索機能全体としては支障がありません。
- foobar2000はMiscrosoftのUPnPプロパティを使用してきますが無視されます(標準クエリに接続する形で内容的に重複指定しているので無視しても影響なし)。
- Kazooはアーティストをジャンルで分類していることを前提に決め打ちのジャンル「classical」で検索するという特異なGUIを持ちます。アーティストをジャンル分類するサーバもないことはありませんが、一般的かというとそうでもありません。将来的にもJpsonicはこれに対応しません。通常のアーティスト検索の結果を返します
- ☆2 以前はサポートされていましたが、現在は利用できないようです。
- ★3 ひとつのディレクトリ内に大量の子要素が存在するような場合、何件ずつ取得し表示に反映するかの仕様はクライアントごとに異なります。上手な実装をしているアプリでは「Loading…」がほぼ発生しません。逆に言えば待ちが出たりLoadingが出る場合、ネットワークからクライアントアプリ側に問題があります
- BubbleUPnP/MediaMonkey(Android)/Hi-Fi Cast : ビューエリアのデータ(10件ちょっと)を取得し、その後ビューのスクロールに応じ順次取得します。画像キャッシュが作成されていない場合、高速スクロールをすると後続の画像リクエストが殺到しタイムアウトになる場合があります(リロードで解決)。キャッシュが作成されている場合には体感的に軽快に感じやすいです
- MediaMonkey(Win) : 一定数毎にデータを順次取得します(バージョンによっては件数指定によるチューニングが可能)。最も無難。
- foobar2000 : 順次取得ですが一度に取得する件数が飛びぬけて多いです(100とか1000という単位、プラットフォーム毎に異なる)。あまり意味はないかもしれません。
- ★4 明確なタイムアウトプロセスが存在するため、ハイレゾのクラシック曲などのような巨大ファイルのリサンプリングは仕様上利用できない場合があります(不具合ではありません)。
- ☆5 ハイレゾで音飛びします。Google Playのレビューページでもハイレゾ帯域に限らず音飛びが報告が多いため、クライアントの再生機能自体が弱い可能性があります
- ★6 特別なプロセス。起動時にすべてのリソースをクロールします。抑制していなければログに進行度が出力されます。大規模ライブラリの場合、公開ディレクトリを少なくするなどの工夫が必要かもしれません
どれがお勧めか
これら以外の大部分のUPnPアプリも使用可能かと思います。お気に入りアプリを使うのがよいです。あえて言えば以下のように。
- ここに記載されていない機能差も含めると、BubbleUPnPがオンリーワンのアプリになります。どこのサイトを見てもお勧めアプリの筆頭かと
- BubbleUPnPほど本格的でなくてもよいという方には、Hi-Fi Castあたりも候補かもしれません。Jpsonic + Hi-Fi Castの場合画像のように。検索もできます
- 絶対に無料、という縛りの場合、Andoridはfoobar2000、Windowsに入ってるメディアプレイヤーあたりがお手軽ですが、お手軽ゆえ弱点もあります。
この記事のアプリリストに記載がなく検索機能がうまく動かないというAndroidアプリがございましたら、教えていただければ対応いたします。ただし、評価が4つ星以上、かつ無料で検索機能が使えるアプリでお願いします。
Windowsアプリは古いものをメンテし続けている場合が多いです(設計も歪なものがほとんど)。Androidアプリのようなシンプルなものはなかなかない状況です。AndroidのエミュレータをインストールしてBubbleUPnPを動かしたほうがUIは優れているまであります。エミュレータではおそらく音質が落ちますが・・・ひょっとしたら数十年後は、あまり重要ではないWindowsネイティブアプリは死滅し、他のOS用のできのよいものを使用するようになっているかもしれません。
検索仕様の注意点
UPnP検索の画面や動作の仕様はアプリごとに異なります。これは非互換ではなくそれぞれのアプリが持つ固有の検索仕様です。
テキスト入力欄が一つだけというパターンが多いですが、結果の表示方式はフォルダ形式、一覧形式、タブ形式等様々です。それぞれのアプリは自身の仕様に合わせたクエリを都合の良いタイミングで発行します。
最も詳細な検索を行うのはBubbleUPnPで、一度の検索で最大6本のクエリを発行します。そのためBubbleUPnPでは、Twonkyのように検索が遅いサーバで砂時計にならないようにタイムアウト設定が可能です。数万曲のライブラリに対してBubbleUPnPで検索をかけて瞬時に応答しているのであれば、他のアプリでも同様に動作します(Jpsonicのサーバイド検索は最速クラスです)。
検索対象の違い
特定のアプリで音楽以外が検索できない場合、そのアプリの仕様です。Jpsonicはクライアントアプリの要求に従います。
検索対象は、クライアントアプリケーションから要求されたクエリに基づいています。たとえば、BubbleUPnPは、音楽やビデオだけでなく、Podacastやオーディオブックも検索します。一方、音楽だけを検索するアプリもあります。たとえば動画コントロールを持たないアプリでは、検索対象に動画を含めてこないでしょう。
検索結果の並べ替え
現在、クライアントからのソート要求は無視されます。どのアプリを使用しても検索結果が同じであれば並び順は同じです。
これは、検索結果の並べ替えがJpsonicの仕様によって既に制御されているためです。Jpsonicの検索結果には、今では一般的な検索システムで見られるような検索結果の一致度を考慮したソート仕様があります。
Jpsonicには検索対象のフィールドには既定の並べ替え優先順位が存在します。たとえば曲検索の場合タイトルの一致度が優先されます。Webページに検索結果を表示したときに、左側に表示されるフィールドの一致度がより優先されます。ただし優先度の低いフィールドにヒット数が多い場合、それを優先して上位に表示することもあります。
UPnPの仕様が作成された時代よりも検索実装技術は進歩しています。アプリ各々が定義している旧来の単純なソート順に個別に従うのではなく、一律の規則を採用する仕様をしています、ということです。
BubbleUPnPをダウンローダとして利用する
BubbleUPnPはダウンローダとしても優秀です。foobar2000にも同機能があるのですが、動作が不安定な場合があるようです。
- 任意のディレクトリに曲をダウンロードすると、お気に入りのローカル音楽プレイヤと曲データを簡単に共有できます
- BubbleUPnPを室内視聴用アプリ、兼ダウンローダのような、ハブアプリとして活用できます。あるいはBubbleUPnPはそこまでのユースケースを想定して作られているアプリです。
この利点が分からない方向けへの説明
「NASの曲ファイルをスマホに入れるにはどうすればよいのでしょうか」という質問はWeb上にあふれています。よく見かける回答例が以下のようなものです。USBケーブル経由の転送はオフラインPC環境でも可能なため、PC初心者の質問に対しては基本的で適切な回答になります。
- NASからPCにファイルを持ってくる
- PCでフォーマット変換する
- USBケーブルをタンスの引き出しから探し出しPCとスマホに接続する
- なんかよくわからん転送モードとか切り替えてスマホにドラッグ&ドロップ
Wifi環境でJpsonicを使用している場合、この作業をワンアクションで行えます。アルバム数枚を転送する指示は数秒で終わります。
楽、というのもありますが、自分が環境整備して家族に使わせるケースでの運用時に大きなメリットがあります。操作を教える手間や、操作ミスで大元のライブラリを壊されるリスクを省けるためです。NASに置くだけで家族と共有できるというのは性善説です。
アルバムをスマホへ転送する
対象のアルバムの右端をタップしDownloadをタップするだけです。
数年前にこの記事を書いたときよりもBubbleUPnPのダウンロード機能は改善されており、ダウンロードディレクトリを指定できるようになっています。また先行入力可能になったため、複数のアルバムのダウンロード分をまとめて入力して放置できます。出がけにパパッと操作しておけば、歯磨きしてる間に全て終わっているという使い方ができます。Windowsは起動する必要がありません。
スマホの上の方をスライドすると進行度表示がされるようになりました。タップで展開するとキャンセルボタンが表示されます。実用に十分な機能が備わっています。
お値段以上。BubbleUPnP。
フォーマット変換して転送する
UPnPの設定ページで「mp3 audio」をチェックし最大ビットレートを変更することで、ダウンロード時にファイルフォーマットをMP3へ変換できます。
トランスコーディング設定ページに「トランスコーディング設定の復元」というセクションがあります。ここでMP3コマンドをタグオプション付きに切り替え可能です。ダウンロードした曲を他のアプリで利用する際に便利です。
トランスコーディング設定ページではffmpegコマンドの追加・編集・削除が可能です。
そのためffmpegがサポートする全てのファイル形式へ変換が可能であり自由度がとても高いです。
ローカルアプリの例
UPnPからダウンロードしたファイルは、クラウド機能を持たない一般的な音楽アプリでも利用できるようになります。
Pulsarのようにスキャン機能を持つ音楽アプリを使用した場合、UPnPからダウンロードしたファイルをすぐに使うことができます。BubbleUPnP側でダウンロードする際に保存先を「Music」ディレクトリ等に指定しておくと、大抵のアプリは設定いらずで読み込めます
SDカードは極端に遅い場合があります
SDカードに読みに行けるアプリを使えば使用できる容量を増やすことができますが、ファイルの書き込みに本体の場合の数倍の時間がかかる場合があります。スペックを要確認です。
この手の処理ではコンバートやネットワークの転送速度よりも、スマホ側の書き込み速度がボトルネックとなる傾向があります。大容量SDカードを使って楽曲をPCレスで管理するアイデアはしばしば見かけますが、現状ではさすがに非現実的ではないかと思います(そのためSDカードに読みに行くという機能自体をつけないアプリもある)。そもそも通電しなければ消えます。
アーティスト画像を表示する
Pulsarの場合、自動でネット収集します。
SubsonicやAirsonicに搭載されているアーティスト画像収集機能は、JpsonicではLast.fmがそのサービスを封鎖した時点で取り外されました。
外部の画像サービスとの連携は、必要であればPulsarのようにクライアントアプリでも実現可能なためです。
歌詞を表示する
Pulsarの場合、Walkman Lyrics Extension等と連携可能です。
Subsonic系列のサーバはこの機能を持つのですが、Jpsonicでは設定により隠されています(これもそのうち削除されるかもしれません)。
APIの後方互換には慎重であるべきですが。外部サービスに依存する処理というのは当然クライアントアプリでも実装可能であるため、車輪の再発明になりがちてす。「聴く」「探す」とは基礎機能とは関係がないので、法的にすっきりしない機能は商圏対応と称し削除で良いと考えています。
DLしてローカルアプリを使用する利点
- 利用可能なアプリの選択肢が莫大に増えます。新しいアプリが次々と出てきます
- 完全オフラインのアプリはバッテリーの持ちが良い傾向(常時オンラインストリーミング派なんてそんなにいないダロ)
- クライアント・サーバのセットで展開しているプロダクトもありますがベンダーロックインの恐れがあります。UPnPプロトコル経由の楽曲ダウンロードという運用方式では、NASやOS、サーバソフト、クライアントアプリ、スマホ等の個別のパーツをそれぞれ取り替えやすいです。
- あえてハード固有の機能を利用したプレイヤーを使用することもできます。またJpsonicはJavaが動かせるプラットフォームであればどこにでも配置できます。運用を継続しながら構成を変更していきやすいという利点があります
- スマホ内に存在する曲の入れ替えを明示的にコントロールできます。必要なものだけスマホに移すという伝統的な運用では、ストレージサイズがシビアな端末での運用がしやすいです
- ffmpegを個別にアップデートできるため機能を最大限利用できます。OSやハードに依存してしまう専用転送ソフトの呪縛から逃れられます。専用転送ソフトのライフサイクルは短く、仕様がコロっと変わったり動かなくなる場合があります。
番外アプリ
修正されればリストに載せるというアプリです。
- VLC(Android)は画像の取得がやや安定しないようです。若干読み込みが遅く検索も実装されていません。設定まで日本語訳されている稀有なアプリなので、開発が進むとお勧めしやすい良アプリのひとつに化ける可能性があります。経過観察
- 追記(2022/5/22)画像の取得が改善され日本語の曲も扱えるようになった模様。ただしサーバサイド検索は以前として使用できず。ソースを見ていないのでなんとも言えませんが、動きを見る限りファイルのツリー構造もキャッシュしているのかなと(検索もローカル検索でお茶を濁そうとしているのかな・・・)。ローカルでゴニョゴニョやりたがるアプリはしばしば存在するのですが、この路線のUPnPアプリは、上記「アプリ/連携機能一覧」で検索に★がついているアプリのユーザビリティに追いつけない可能性があります。
- AIMP(Windows)も設定まで日本語訳されている稀有なアプリです。モダンという言葉に弱い方を狙い撃ちするデザインを持ちます。一部文字化けとソートの不具合が治れば化ける可能性があります。経過観察
- 追記(2024/3/30) ここら辺を見る限り修正する気はないようです。問題点が2点あるかと。(1)DLNAと称しているがメッセージングはストリーミングのデータに対するURLを辿るまでしか利用されておらず、曲情報はメタデータの解析をしている(2)解析が間違っている。どうすればいいのかということですが、どうにもなりません(「AIMPにあわせてこういうデータに書き換えれば!」みたいなアプローチはアウトでしょう)。設計としては純粋なUPnP/DLNAプレイヤーとは言い難いので、関わるのはここまでとしようと思います。ありがとう
- Kodiはデフォルトで日本語が表示可能なフォントに改善されれば確認対象。古いアプリってコアメンバーが変わってなければポストWW2世代ですよね。世の中広いのでアルファベット以外排除したいエンジニアがいてもおかしくないです。ABCの使用率が高いのは他の文字使う奴を何千年もぶっ殺し続けた成果故。中指立てる必要はないですが、頑として英語ガラパゴスを貫くプロダクトを盲信礼賛するのもどうかなと。国粋主義者である必要はないですが、違和感感じるセンスはあっていい
- 以前substreamerというアプリを紹介していたのですが、接続方式にやや難があるため現在リストから外しています。Jpsonicを単体起動した場合、WebコンテナはJettyが使用されます。この状態でsubstreamerを使用すると特定機能で大量の警告ログを出力します。これは仕様です(悪意のある接続に対して同様のログが出力されるケースがあるため抑制はしません)。この件についてTomcatは若干甘めな仕様なため、このログ問題を隠すことが可能です。どうしてもsubstreamerを使用したい場合Tomcatに配備してください
- Symfoniumというアプリの開発元からOpenSubsonicに対応してくれというリクエストがきたのですが丁重にお断りしました。OpenSubsonicでは検索で空クエリでデータを引く仕様が追加されていますが、サポートを表明する全てのサーバを含め若干疑問符が付きます。検索の設計としては疑義があるので、勝手に仕様変更せず新しい機能としてエンドポイントを作ればいいだけです。そうしないのは、意にそわない既存サーバに恣意的なレッテルを張り、無茶を聞いてくれる子飼いの勢力を作りたいのだろうなと。Jpsonicではデータのダンプを全否定しているわけではなく、現にWindows Media Playerのために特化処理を書いているほどです。MediaMonkeyもダンプをしますが、WMP同様、既存仕様の範囲内なので責めるべきものではないです。Symfoniumのやり方はアウトかなと。お金を取っているので、既存APIの要件を満たすのが先ではないかと。あとはまぁダンプしたがるクライアントは例外なくソートや検索が劣化します。数十年来繰り返されている設計の過ちにつきあうメリットがないです
ハイレゾ対応
ハイレゾ対応が行われていますが、どちらかと言えば実用以上にベンチの側面が強かったりします。「NASにあるCD音源のFLACをWifiでロスレス視聴」といった現実的なレンジは、より安定して使用できるということです。
またこれら対応を行うために、Subsonc系サーバで長期の間放置されていたストリーミングの不具合がいくつか改修されています。日本語処理が目立ちがちですが、Jpsonicは「聴く」に対してもレガシーサーバより進んだ実装をしています。
以下の形式で確認しています。参考URL
- 24BIT/352.8kHz
- 24BIT/192kHz
- 24BIT/96kHz
- 16BIT/44kHz
ハイレゾとCD音質の聴きわけ
Jpsonic > Experia > LDAC機器 のようなWifi&Bluetooth構成でもハイレゾ相当の音源が使えます。ただしCDとハイレゾの聞き分けは難しく、比較に使用される音源にも左右されます。開発時に使用したサンプルの中で比較的便利と感じたのが以下のものです。e-onkyoさんのサイトで配布されています。
【配信終了】音展2013「カルテット・クローデル」ライブ・コンサート
日本オーディオ協会提供のかなり良いデータだったのですが、配信が終了してしまったようです。
- 「ソーラン節」はアタックノイズに差が出やすい
- 「ラデッキー行進曲」は手拍子に大きな差が出やすい
このラデッキー行進曲が、ハイレゾ引っ張ってきて聴いてみてちゃんと動いているのかなと確認するのに特に適していました。
手拍子は可聴領域全ての成分を含みます。かつ脳裏に刻み込まれた音であるため、どなたでも「リアルに聴こえる」「スポイルされているようだ」の差が比較的分かりやすいです。オーディエンスの拍手より、この曲のような近距離の手拍子の方が明確です。逆に言えばそこまでケースを絞らなければ耳での区別はかなり困難です。初見の曲でブラインドテストというのは、実験として有効なのかどうか割とモヤモヤするところ(もともと明確に区別をできる能力のある人間を揃えてティスティングさせるなら別ですけれども)。
現在曲は入れ替わり、以下の場所にあります。
ハイレゾ無料音源はこちら
DSD対応
DSDにも対応していますが、FLACのハイレゾと比べると扱いに癖があります。
- DSDの直接再生に対応している機器は少なく、大抵の場合どこかでPCM変換を行います。一番簡単な動作確認方法は、BubbleUPnPのローカルレンダラを使用する方法です。BubbleUPnPにはネイティブで対応していないフォーマットをトランスコードする機能が搭載されており、DSDはデフォルトでWav変換されます(設定変更可能)。JpsonicもBubbleUPnPもデフォルト設定の場合、このモードで動作することになります。スマホでDSDを聴きたいだけならこれが一番お手軽です
- Jpsonic側でFLAC変換してストリーミングするためのコマンドが追加されています。設定画面「トランスコーディング」の「トランスコーディング設定の復元」で「dsf2flac」をチェックし保存します。その後設定画面「UPnP」でdsf2flac をチェックして保存することで有効になります。DSD変換はそれなりに時間がかかるため、タイムアウト値について柔軟な動きができるUPnPアプリが必要です。これもBubbleUPnPで有効な動作確認が可能でしょう。サーバのスペック依存ですが、より詳細なトランスコーディング制御が可能という利点があります。エキスパート向け機能です
- 上記の直接送信/トランスコーディング送信のいずれも、BubbleUPnPのOpenHome用のローカルレンダラで動作可能です。OpenHomeアプリから動作確認が可能です
- DSD対応のレンダラ機器を利用する場合、MIMEの非互換が原因でエラーが発生する場合があります。この場合起動オプションで機器にあわせた値に変更が可能です。
- DSD対応と称し、サーバ側ではどうにもならない不思議仕様を持つネットワークスピーカ/プレイヤもしばしば存在します。この世の全ての機器と繋がる保証はできません
OpenHome対応
OpenHomeがUPnPを駆逐する勢いで流行れば、サポートを検討します。今のところどうなるかは不明です。
- BubbleUPnPでラップして疑似OpenHome化できます
- OpenHomeアプリ上でJpsonicを使用することは現状でも可能です。
- OpenHome化は必須ではなく先送りできる問題です
OpenHomeはUPnP派生ローカル。どちらとかいえば今のところ据え置き向き
以下個人的見解です。
汎用性が下がるので、後発の優れた仕様という地位を築けていないのかと。現状UPnP(DLNAっぽいUPnP)/Bluetooth/LDACあたりを活用するのが、利便性・汎用性・音質・コスパの総合点が高いです。特にこの記事のような使い方をする場合。
- 据え置きオーディオシステムで利用されるプロトコルは無数あります。現状、OpenHomeはその枠を超えていないように見えます。DLNA機器と互換性がなく特徴部分に賛否両論あるため、特に据え置き以外では乗り換えが進まないのかと
- 設計的にネックとなりそうなのがレンダラへの直接送信です。コントローラを介さないため一度指示したらコントローラの電源が切れるというのは副次的な効果で、本質は設計上コーデックの配置箇所がより限定されるという点にあります(それは単純なアピールポイントにはならない場合もある)。好意的に言えばデバイスソフトのメンテナンスが集約されるので、サーバとそれと対になるスピーカを売りやすくなります。言い換えるとそういったことをしたい企業がOpenHomeを推します。もちろんサーバメンテは配信頼みになりベンダーロックインします。
- 後から出たからといって進化型仕様というわけでなく、DLNAとは異なるUPnP派生です。最新DLNAではなくどちらかといえば大昔のDLNA仕様に似ています。旧DLNAと最新DLNAの相の子から独自ブランチを作ったような設計になっています(DLNAを整備した陣営からすれば、一部設計が退行しているように見えるでしょう)。より局地的な仕様です。
- DLNAなりUPnPなりの三権分立方式はコントローラに処理が偏りがちですが、プラットフォームがスマホの場合、転じてメリットです。運用開始後もソフトウェアは多くの企業によって随時更新され、個々の機器のスペックアップもしやすいです。そのためNAS・PC・スマホ・周辺機器で構成される変化の速いフレキシブルなオーディオ環境においてOpenHomeの設計は浸透しにくく、サードパーティアプリも増えにくいです。
- 据え置きオーディオ vs スマホを核としたオーディオ環境を比べると、分母は後者が大きいです(少なくとも使用時間で見れば)。実際のところOpenHomeとUPnPは対立概念ではなく併用する方も多いでしょう。OpenHome vs UPnP or OpenHome&UPnP と考えると、今のところはまだUPnPがメインストリームと考えても差し支えないかもしれません。WebでOpenHome関連の調べものをすると声のおおきい記事が引っかかってしまうのですが、Googleアプリのダウンロード数を見ると現実的には大幅な落差があります(累計だけでなくいろいろ統計が見れると良いのですけれども)
- 昨今の無線デバイスのスペックを見るに、ウェアラブルデバイスベンダーがもし興味を持っていればレンダラ対応くらいしてくる気がします。こういった製品が出てきて良質なアプリが作られるようになれば、イノベーションの始まりだとは思います。商業的に旨味がないか、技術的に対立もしくは不要とみなされれば、そのような動きは始まらない可能性があります。一方スマホに積まれる新しい伝送規格に追随して新しいアクセサリを売っていくという市場はしばらく成長進化がありそうです。Openhomeにとっては登場時以上に据え置きオーディオの仕様から脱却しにくい方向性へ世相が進んだと言えるかもしれません。
幼少時から大学卒業まで父譲りの二畳占有するフルコンポを使っていました。上に布団敷いて寝れます。ロックじゃろ?
ですので、個人的には据え置きオーディオには悪感情を持っていません。ベッドに使え、音量MAXでガラスも割れるので。
アンプのスイッチなんか端からパチンパチンして最後「テイク! オフ!」って叫びたくなるくらいたくさんで謎なわけです。
反動からスマホ便利 (◜ᴗ◝) という真反対の考えをする大人に育ってしまった可能性はあります。スマヌ。
今のところOpenHomeサポートの優先度は高くないかな、と考えています。
(選択肢は多い方が良いのであった方が良いけれど、反面なくても同じように使える。YAGNI)
時間を割くのであれば、もっと恩恵が大きい部分は他にもあります。
実装しても良いアプリがないので「BubbleDS使うか」からの「これBubbleUPnPでよくね、てか他のアプリも使えるし」になりがちなのではないかと思います。5年後、10年後はどうなっているかはわかりません。
更新履歴
この記事を書き換えたときに以下に追記します。
- v114.0.5
- AIMPに進展が見られなかったため追記
- v111.2.0
- 番外アプリに「Symfonium」を追加
- リンク先の無料サンプルが置き換わっていたので「ハイレゾとCD音質の聴きわけ」を書き換え
- v111.2.0
- VLCに進展が見られたため追記
- v111.1.0
- DSD対応を追記
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